2026年9月24日の朝、千葉県成田市の印旛沼のそばにある太陽光発電の施設で火災が起きました。台風25号の大雨で沼があふれ、周りが水に浸かっていた場所です。毎日新聞によると、水に浸かっていた接続箱(パネルの電気を集める箱)が、水位が下がって外に出たことでショートし、火が出た可能性があるとされています(原因はまだ確定していません)。消防はボートで近づこうとしましたが、感電の危険が高いとして、消火活動はできなかったと報じられています。
翌25日、経済産業省は「水没した太陽電池発電設備による感電やショートによる火災の防止についてのお願い」を出しました。台風の季節はまだ続きます。この記事では、その内容をもとに、近くに住んでいる方、太陽光に土地を貸している方、発電所を持っている(相続した)方が、それぞれ何をすればいいのかを整理します。
なぜ、水に浸かった太陽光に近づいてはいけないのか
理由は、経済産業省の注意喚起にはっきり書かれています。太陽光パネルは、水に浸かっても、壊れていても、光が当たれば発電できるからです。家の電気のように「ブレーカーを落とせば止まる」ものではありません。昼間、日が当たっている限り、パネルは電気をつくり続けています。
そのため経済産業省は、パネルだけでなく、架台(パネルを支える台)、集電箱、パワーコンディショナー(電気を家庭や電線で使える形に変える機械)、キュービクル(大きめの施設にある電気設備の箱)まで含めて、浸水しているときは近づかないようにと呼びかけています。流れ着いたパネルや、道ばたに放置されたパネルも同じです。
水が引いたあとも、しばらくは油断できない
今回の注意喚起でとくに大事なのが、水が引いたあとの話です。経済産業省は、水が引いたあとでも集電箱やパワーコンディショナーの中に水分が残っていることがあり、触ると感電するおそれがあること、そして中に残った湿気や汚れによって発火する可能性があることを挙げています。
日本テレビの報道では、太陽光発電協会が一般論として、水に浸かっていた部分の水が引いて、再び電気が流れることでショートし、火が出ることがあると説明しています。同じ報道では、2022年にも台風の大雨でパネルが水没し、しばらくたってから内部で火が出た例があったと紹介されています。
つまり、「水が引いた、もう大丈夫」ではなく、水が引いてからが要注意ということです。片づけを急ぎたくなる時期ですが、太陽光の設備まわりだけは、専門の人が点検するまで手を出さないでください。
見かけたとき・持ち主のときに、やること
立場によって、やることが少しずつ違います。経済産業省の注意喚起(2026年9月25日、2019年10月31日)の内容を、立場ごとにまとめました。
| 立場 | やること |
|---|---|
| 近くに住んでいる方・通りかかった方 | 近づかない、触らない。周りの人にも声をかける。そのうえで、最寄りの産業保安監督部か経済産業省、または設置者に知らせる。火や煙が出ていれば、まず119番 |
| 発電所の持ち主(設置者) | ロープを張るなどして、関係者以外が入らないようにする。自分で直そうとせず、50kW未満の設備は販売・施工した業者に、50kW以上の設備は選任している電気主任技術者に連絡し、太陽光に詳しい人に作業してもらう |
| 太陽光に土地を貸している地主さん | 自分で設備に触らず、発電事業者に連絡する。連絡先は、賃貸借の契約書や、現地の看板(標識)で確認できることが多い |
壊れたパネルを片づけるときについても、経済産業省は具体的に書いています。やむを得ず扱うときは素手を避け、ゴム手袋・ゴム長靴を使うこと。壊れたパネルはブルーシートなどで覆うか、パネルの面を地面に向けて、光が当たらないようにすること。そして、捨てるときは自治体の指示に従うことです。
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「連絡先が分からない」を、いまのうちに防ぐ
いざというとき、地主さんが一番困るのが「誰に連絡すればいいのか分からない」ことです。とくに多いのが、次のようなケースです。
- 親が土地を貸していて、相続で地主の立場だけを引き継いだ。事業者の名前も知らない
- 契約した当時の会社が、別の会社に発電所を売っていた
- 契約書がどこにあるか分からない
台風が来てからでは、書類を探すのも大変です。落ち着いているいまのうちに、契約書の場所と、発電事業者の名前・連絡先を確かめておくと安心です。現地に行く機会があれば、フェンスなどに付いている看板の写真を撮っておくのもおすすめです。
あわせて、契約書の中で災害で設備が壊れたときの対応と費用を誰が持つのかも見ておきたいところです。20年後の撤去の話も含めて、太陽光を貸した土地、20年後のパネルは誰が片づけるのかで詳しく書きました。
これから土地を貸す・選ぶなら、最初にハザードマップ
経済産業省は2019年の注意喚起の中で、設置者に向けて平時から設置場所の洪水ハザードマップを確認すること、浸水が想定される場所ではパワーコンディショナーなどの機器を想定される浸水の深さより高い位置に移すことを検討することを求めています。日本テレビの報道によると、今回火災が起きた現場は、ハザードマップで最大10m程度の浸水が想定されていた地域でした。
私たちが太陽光や蓄電池の用地を探すときも、水につかる場所かどうかは、広さや電線の近さより先に見る条件にしています。条件のよい土地に見えても、浸水の想定が深い場所は、設備を置く前に候補から外すことがあります。産経新聞の報道では、防災の専門家が、災害リスクのある場所への設置について立地の審査を厳しくする必要があると指摘していました。
ハザードマップは、市町村のホームページや、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で、住所を入れるだけで見られます。土地を貸す話が来たときは、契約の前に一度確かめておくと、あとで困ることが減ります。
まとめ
水に浸かった太陽光の設備は、光が当たれば発電しているため、近づくと感電のおそれがあります。そして水が引いたあとも、機械の中に残った水分や汚れで感電や発火が起きることがあります。見かけたら近づかず、周りに声をかけ、産業保安監督部や経済産業省、設置者に知らせてください。火や煙が見えたら119番です。
土地を貸している方・発電所を引き継いだ方は、台風の前に契約書と連絡先を確かめておくこと。これから貸す方は、契約の前にハザードマップを見ること。この2つだけでも、いざというときの慌て方がずいぶん変わります。
「親が貸していた土地の太陽光、いまどうなっているのか分からない」「浸水の心配がある土地を、この先どうしたらいいか」といったご相談も、私たちはお受けしています。売ると決めていない段階でも構いません。
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