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年間100日、霧の中。資料には出てこない土地の条件があります

土地・相続

土地の値打ちは、
書類だけでは決まりません

もりまる

先日、長野県の軽井沢まで土地を見にうかがいました。地権者の方から「一度、現地を見に来てほしい」とお声がけをいただいたためです。

着いてみて、驚きました。10メートル先が、白くて見えないのです。道路も、電柱も、停まっている車も、少し離れるとすっと霧に溶けていきます。写真を撮っても、ほとんど白い一枚になってしまうほどでした。

地権者の方は、こともなげにおっしゃいました。「ここは年間100日以上、霧ですよ。夏がいちばんすごいんです」。

恥ずかしながら、私はそのことを知りませんでした。そして同時に、これはお客さまにもお伝えしたほうがいい話だと思いました。その土地の霧のことは、私が事前に調べた資料のどこにも書かれていなかったからです。

軽井沢が「避暑地」になった理由が、その霧でした

帰ってから調べてみると、地権者の方のお話はそのとおりでした。軽井沢の霧の日数は年間100日を超え、とくに8月は3分の2ほどが霧の中とされています。

理由は、土地の高さの差にあります。軽井沢は標高およそ1,000メートル。そのふもとにあたる横川はおよそ380メートルで、その間に600メートル以上の高低差があります。関東平野から流れてきた湿った空気が、碓氷峠の急な斜面に沿って一気に駆け上がり、上空で冷やされて霧になる——という仕組みです。

600メートル以上を駆け上がる、湿った空気 横川 標高 約380m 軽井沢 標高 約1,000m 湿った空気 霧になる
軽井沢の霧が生まれる仕組み(一般に説明されている内容をもとにしたイメージ図です)

外国人の宣教師たちが軽井沢を避暑地として選んだのも、この霧が日差しをやわらげてくれるからだったと言われています。つまり軽井沢にとって霧は「欠点」ではなく、その土地をその土地たらしめている個性でもあるわけです。

私たちが、現地に行く前に調べていること

誤解のないようにお伝えすると、私たちも何も調べずに現地へ行くわけではありません。土地のお話をいただいたら、まず机の上で次のようなことを確認します。

  • 登記の内容——名義が誰になっているか、古い権利が残っていないか、面積や地目はどうか
  • 航空写真と地図——形、接している道、まわりに何があるか、傾いていないか
  • ハザードマップ——浸水、土砂災害、地震のときの揺れやすさ
  • 電気を受け入れる余地——近くの変電所にどれくらい余裕があるか(蓄電池などの用地として検討する場合)

ここまでで、かなりのことがわかります。実際、この段階でご提案が難しいと判断することも少なくありません。

けれど、ここまで調べても「年間100日は霧の中」という情報は、一度も出てきませんでした。登記簿にも、航空写真にも、ハザードマップにも、そんな欄はないからです。

「うちの土地、ちゃんと見てもらったことがない」

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書類に出てこないことは、ほかにもあります

霧はそのひとつの例にすぎません。現地にうかがってはじめてわかることを挙げると、こんなにあります。

  • トラックが本当に入れる道幅かどうか(地図上は道でも、実際は軽自動車がやっとということがあります)
  • 雨のあと、水がどこに溜まるか
  • 風の通り方、雪の吹きだまりになる場所
  • まわりのお住まいとの距離、窓の向き
  • 電柱がどちら側に立っているか
  • 地図では平らに見えるのに、実際は片側が傾いていること
  • そして、地域の方だけが知っている、その土地の来歴

最後のひとつが、いちばん大きいかもしれません。今回の霧も、教えてくれたのは資料ではなく、その土地を長く見てきた地権者の方ご本人でした。

同じ土地でも、使い道によって評価は変わります

もうひとつ、この霧の話にはおもしろい面があります。

霧が多いということは、日差しが届きにくいということです。ですから太陽光発電の用地としては、不利にはたらく条件になります。発電量は日射の量に左右されるためです。

いっぽうで、電気を貯めておく蓄電池の設備は、それ自体が発電をするわけではありません。電気が余っている時間に貯めて、足りない時間に流す設備ですから、その土地に日が差しているかどうかは、発電量の話としては関わってきません。

つまり「太陽光には向かない」と「土地として価値がない」は、まったく別の話だということです。ひとつの物差しで低く出た土地が、別の物差しでは違う見え方をすることがあります。

これは霧に限りません。「農業には条件が悪い」と言われてきた土地についても、同じことが起こります。その話は「農地は売れない」と言われる本当の理由で詳しく書いています。

もりまる
ただし、条件がそろえばどこでもいい、という意味ではありません
蓄電池の用地には、電気を流し込める場所が近いことなど、いくつもの条件があります。霧が関係しないからといって、どんな土地でも使えるわけではありません。実際、私たちも現地にうかがったうえで、ご提案が難しいとお伝えすることがあります。この記事は「必ず活用できます」という意味ではなく、資料だけで決めてしまうのはもったいない、という趣旨のお話です。

資料で低く見えているだけ、ということがあります

相続した土地について、こういうお声をよく伺います。「不動産屋さんに、これは値段がつかないと言われた」「写真を送ったら、それきり連絡が来なかった」。

もちろん、本当に活用が難しい土地もあります。ただ、机の上の資料だけで判断された結果である場合も、少なくないように感じています。書類に載っていることは土地の一部でしかなく、載っていないところに、その土地の良さも難しさも隠れているからです。

私たちが、遠くても現地にうかがうようにしているのは、そのためです。行ってみたら真っ白で何も見えなかった、という日もありますが、その「真っ白だった」という事実こそ、行かなければ手に入らなかった情報でした。

まとめ

  • 登記簿・航空写真・ハザードマップで、土地のことはかなりわかります
  • それでも、霧・水はけ・道幅・地域の来歴などは、現地と地元の方からしか得られません
  • ひとつの用途で条件が悪くても、別の用途では評価が変わることがあります
  • ですから、資料だけで結論を出してしまうのは早いかもしれません

ご自身の土地について「一度もちゃんと見てもらったことがない」という方は、よろしければ一度お声がけください。売ると決めていない段階でも、現状のままでご相談いただけます。

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出典・参考

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