「登記簿を取ってみたら、住所が20年前に住んでいたアパートのままでした」——土地のご相談では、こんな声をよく聞きます。
これまで、引っ越しをしても土地や建物の登記の住所を直すかどうかは、本人の任意でした。困るのは売るときや貸すときくらいなので、そのままにしている方がほとんどです。
ところが2026年4月1日から、この住所・氏名の変更登記が義務になりました。しかも、4月より前に引っ越した分も対象です。この記事では、10月の「土地月間」にあわせて、地主さんが知っておきたいポイントを法務省の案内にもとづいて整理します(制度の内容は2026年10月12日時点)。
何が変わったのか——「2年以内」と「5万円以下の過料」
法務省の説明によれば、不動産の所有者(登記簿に所有者として名前が載っている人)は、氏名や住所に変更があったときは、その変更日から2年以内に変更の登記を申請しなければなりません。
正当な理由がないのに申請を怠ったときは、5万円以下の過料(行政上のペナルティとしてのお金)の対象になります。
| 住所・氏名が変わった時期 | 登記の期限 |
|---|---|
| 2026年4月1日以降 | 変更日から2年以内 |
| 2026年3月31日以前 | 2028年3月31日まで |
注意したいのは、表の2行目です。「ずっと前に引っ越して、登記の住所は実家のまま」という方も、2028年3月31日までに直す必要があります。今日から数えて、残りはおよそ1年5か月です。
当てはまりやすいのは、こんな方です
実際のご相談でよく見るのは、次のようなケースです。
- 就職や結婚で実家を出たけれど、相続した土地の登記は実家の住所のまま
- 結婚・離婚で名字が変わったのに、登記は旧姓のまま
- 何度か引っ越しをしていて、登記の住所がいつのものか分からない
- 市町村合併などで住所の表示が変わった(※この場合は、法務省の案内で「正当な理由」の例に挙げられています)
相続登記を済ませた方も油断できません。相続で名義を自分に変えたあとに引っ越した場合は、その引っ越しが新しい「変更」になります。
いちばんラクなのは「スマート変更登記」
引っ越しのたびに法務局へ行くのは大変です。そこで用意されているのがスマート変更登記という仕組みです。
法務省の案内では、流れは次のとおりです。
- 一度だけ「検索用情報の申出」をしておく——生年月日・メールアドレスなどを法務局に届け出ます(2025年4月21日から受付中)
- 法務局が住民基本台帳ネットワーク(住民票の情報)を確認し、住所や氏名の変更を見つけます
- 本人に「登記してよいですか」という確認がメールまたは書面で届き、応答すると、法務局が職権で(法務局の側で)変更登記をしてくれます
この職権の登記には、登録免許税などの費用はかかりません。申出は、法務省の「かんたん登記申請」のページからオンラインでも(電子証明書は不要)、書面で法務局に出すこともできます。管轄の違う不動産をいくつも持っていても、いずれかの法務局にまとめて申し出られます。相続登記などを申請するときに、申請書へあわせて書くこともできます。
さらに法務省は、申出をしていて法務局の手続きがまだ行われていない場合を「正当な理由」の例に挙げています。先に申出をしておけば、これから先の引っ越しで過料を心配しなくてよくなる、と考えておくとよいでしょう。
登記を直すついでに、「この土地、どうしよう」も
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すでに住所が変わっている人は、自分で申請を
スマート変更登記は「これからの変更」に備える仕組みです。いま、登記の住所がすでに古いままになっている方は、2028年3月31日までに変更登記を申請しておきましょう。
自分で申請する場合の登録免許税は、法務省の案内で不動産1個につき1,000円です。土地が3筆と建物が1棟なら、4個分で4,000円という計算になります。司法書士に頼む場合は、別に報酬がかかります。
住所の移り変わりを証明する書類(住民票や戸籍の附票など)が必要になります。何度も引っ越していて、登記の住所から今の住所までのつながりが書類で追えない場合もあるので、そのときは法務局や司法書士に相談するのが確実です。
なお、法務省は「正当な理由」の例として、本人の重い病気、DV被害で避難している場合、経済的に費用を負担できない場合なども挙げています。事情がある方は、ひとりで抱えずに法務局へ相談してください。
なぜ、土地を売る・貸すときに効いてくるのか
この義務化は罰則の話に目が行きがちですが、私たちが現場で感じるのは、登記の住所が古いと、土地の話が前に進まないということです。
- 売るとき——売買の登記の前に、住所を今のものに直す手続きが必要になります。直す書類がすぐそろわないと、引き渡しの日程に響きます
- 貸すとき——太陽光や蓄電池の事業者は、契約の前に登記簿で所有者を確かめます。登記の住所と今の住所が違うと、本人確認のための書類が増えます
- 相続のとき——所有不動産記録証明書は名前と住所で検索するため、登記の住所が古いと一覧に出てこないことがある、と法務省自身が注意しています
つまり、住所をそろえておくことは、次の世代が土地を見つけて、動かせるようにしておく準備でもあります。
まとめ
2026年4月1日から、土地や建物の所有者は、住所や氏名が変わったら2年以内に変更登記をすることが義務になりました。怠ると5万円以下の過料の対象です。4月より前の変更も対象で、その期限は2028年3月31日です。
これからの引っ越しには、無料のスマート変更登記(検索用情報の申出)で備えられます。すでに住所が古いままの方は、不動産1個につき1,000円の登録免許税で、自分で直すことができます。
登記を整えたあとの「この土地を売るか、貸すか、どう活かすか」は、私たちの仕事です。まだ何も決めていない段階でも構いません。
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